百年のマン島
TTレースと日本人
百年のマン島
TTレースと日本人
マン島TTレースを主軸として、世界に飛躍した日本のオートバイと関係する人の歴史やエピソードを綴った本。日本の二輪文化を黎明期から整理してある貴重な文献です。
史上最強の民族といわれるケルト人を祖とし、神話の地に繰り広げられる世界で最も過酷な公道レース。それは千年を超える議会政治を持続するマン島政府の決断から始まった。数々のドラマとともに百年を経過したTTレース。その島は、日本が世界に羽ばたいた歴史的舞台でもあった。(出版社より)
百年のマン島 ーTTレースと日本人ー 目次
1959年6月3日 英連邦・マン島
第1章 危機下の決断
- (1) 海外への視線
- 藤沢武夫と本田宗一郎
- TTレース出場宣言
- 宗一郎、マン島へ!
第2章 浅間に響いたエキゾーストノート
- 周回コースでレースができる!
- ヤマハの颯爽たるレース・デビュー
- 出現した「浅間高原自動車テストコース」
- 浅間火山レース、ふたたびワークス・ヤマハが!
- ホンダ、惨敗からの再出発
- 浅間以後の日本レース界
第3章 スーパーカブとモンディアル
- 〝小さな乗り物〟が生活を変えた
- ヤマハ、海外レースに挑戦
- 本物のレーサーが欲しい!
- モンディアルがやってきた!
第4章 矢は放たれた!
- 「来年のTTにでるぞ!」
- 悲劇のライダー、秋山邦彦
- ホンダ、マン島に上陸
- 恐るべし、クリプス・コース
- MV、ドゥカティ、MZ……〝世界〟は速かった!
- マン島の〝おにぎり〟
第5章 ケルトの島
- 大英帝国でもイギリスでもない島
- 「ケルト」とは何か
- ケルトの衰退と抵抗
- 「妖精の橋」 fairy bridge
- 孤高のマンクス
第6章 自動車の曙とレースの始まり
- 機械工業の先進国イギリス
- イギリスの発展を遅らせた〝悪法〟
- 欧州大陸とイギリスの違い
- 「競争」と「競走」
- ナショナル・カラーの誕生
第7章 〝レースの島〟として
- イギリスでもレースを!
- 第一回のマン島TT
- 「TT」という名称の由来
第8章 マウンテン・コース誕生
- 自転車とエンジン
- 市議会からのクレーム
- 恒久のマウンテン・コースへ
- セニアとジュニア
- 安全への試み
- 中断と再開
第9章 マンクス・グランプリ
- 英国の至宝、 HRD登場!
- 〝ニュー・テクノロジー〟続々
- 「サイドカー」出現す!
- メーカー競走と契約ライダー
- 「マンクス・グランプリ」の誕生
第10章 オートバイと日本
- 明治に始まる車輪の文化
- 国産オートバイ続々
- 日本のレース、はじまる
- 鳴尾競馬場とオーバル・レース
- 変化と〝余裕〟の大正期
- 輝けるライダー、多田建蔵
- 戦前日本の〝レース黄金期〟
- 「エローファースト」と「SSD」
- 軍需としてのオートバイ
第11章 世界最高峰のロードレースへ
- ノートンの時代
- レースの高速化と長距離化
- スタンレー・ウッズの「情報戦」
- レースは〝ナショナリズム〟へ
第12章 戦後のマン島TTと世界GP
- マン島に、レースふたたび!
- 世界グランプリレースの発足
- ニューエイジのライダーたち
- パーツメーカーの積極サポート
- 敗戦国イタリアとドイツの猛襲
第13章 戦後日本とレース
- 敗戦と進駐軍
- 生まれ変わる軍需品
- 道交法と多摩川レース
- 「原付」隆盛と乱立するメーカー
- 外国製オートバイの刺激
- 性能比較がはじまる
- 「実用車」と「遊びクルマ」
- 「富士登山」から「浅間」へ
第14章 戦後の欧州〜MVアグスタの時代
- 戦後の英国レース・シーン
- スピードの向上と「カウリング」
- 無敵のMVアグスタ!
第15章 日本メーカーの挑戦 1959〜1960
- ホンダ、250ccフォアを投入
- 2サイクルでTTレースへ!
- ホンダ、ついに世界グランプリへ
- これが「マウンテン・コース」だ!
第16章 日本の挑戦 1960
- トム・フィリスと北野元
- スズキ・ワークスとサー・ジェフ・デューク
- MVアグスタ、強し!
- 鈴鹿にサーキットができる!
第17章 日本の挑戦 1961
- ホンダ、すべてのGPに参戦
- MV、ワークス活動を停止
- ヤマハもGPに参戦する!
- 1961年マン島TT、ついに「日本」が勝った!
第18章 日本の挑戦 1962
- 名手エルンスト・デグナーの亡命
- 超絶の「ワークス500ccマシン」
- マン島TT50ccでスズキ勝利
- ホンダの悪夢、高橋国光クラッシュ!
- トム・フィリス、マン島に眠る……
第19章 日本の挑戦 1963
- GPを支える日本製マシン
- マン島で日本人ライダーが勝利!
第20章 日本の挑戦 1964
- 4サイクルか2サイクルか?
- 〝日本製マシン+外国人ライダー〟
- 世界を制した日本の技術
第21章 終章 マン島は独自の道を歩む
- 新・車両規定と〝メーカー離れ〟
- 世界GPとの訣別
- 戦後日本の「工業」を牽引したオートバイ
- マン島よ、自らの道を行け!
エピローグにかえて 『TTを通じて』25のエッセイ
- 継続への信念
- 挑戦に駆り立てるもの
- 世界との大きなギャップ
- 挑戦の共有
- 三者三様
- 裾野産業への波及
- 日本という財産
- 伝統を引き継ぐ
- ロードレースの変化
- 非日常性の昇華
- 危険への考え方
- 自己責任の確立
- 日本での自己責任
- 反対と互助の兼ね合い
- ホスピタリティ
- 継続の底力
- 伝統のバックボーン
- 形式だけの継続
- イベントは儲け場所か
- 日本のモータースポーツ・イベント
- 日本のモータースポーツ・イベント2
- 名物から伝統へ
- 「TT」に魅せられて……
- きれいに齢をとる
- 〝忘却文化国〟からの脱却を
あとがき
- 不朽の挑戦 マン島TTレースから世界へ飛躍した日本の偉業
- 注釈
- 参考文献、 写真提供一覧
- 座談会出席者略歴
- マン島に挑戦した日本人ライダーの記録(WGP時)
- 著者略歴
- 奥付